宇宙の大元霊から、陰陽の二元が岐れ、それが万有の根元となる。この原則は何処まで行っても厳格に守られ、神界も現界も、常に陰陽二系をもって終始一貫する。
『古事記』では「幽の幽」の神は、天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神、宇麻志阿志詞備比古遅神、天之常立神、国之常立神、豊雲野神、宇比地根神、須比地根神、角杭神、妹活杭神、大戸地神、妹大戸辺神、面足神、妹根神等である。
天之御中主神が活動を起して、宇宙内部に「進左退右」の運動が開始されると、この「進左」と「退右」という正反対の根本的二大力を 司 るもの、即ち 「進左」と 「退右」との体現者、それが高皇産霊神と神皇産霊神である。高皇産霊神は「進左」を司どる「霊系」の祖神であり、神皇産霊神は「退右」を司どる「体系」の祖神である。
この神の地位、活動等の関係は、前者は「主」であり、君であり、天であり、男であり、表であり、上であり、そして霊界の経緯に当り給う。後者は「従」であり、臣であり、地であり、女であり、裏であり、下であり、そして現界の造営を 司 る。
宇宙内部の経給が進むにつれて、霊系、体系共に無数の神々が顕現するが、みなこの二大祖神の分かれであり、二大祖神の発揮される「力」の一分担者である。
霊系に属するものの一切を巻き収めれば、悉 く高皇産霊神に帰し、体系に属するものの一切を巻き収めると悉く神皇産霊神に帰する。更に高皇産霊神と神皇産霊神とを一つに巻き収めて、帰一せしめたとすれば、それが即ち天之御中主神であり、「三神一体」、[三位一体」はこの間の消息を伝えたものである。
宇麻志阿志詞備比古地神以下、悉 く相対的活用を 司 り、霊体二系の神々に分類出来る 。
即ち比古瀬神は、霊系に属し、温熱を供給し、万物を化育する根元の働きを宰 り天常立神は、体系に属し、水系を集結し、天体を構成整理する根元の働きを 宰 り給う。
次に国常立神は、霊系に属し、経に大地の修理固成に当り、一貫不変の条理を固守せしむる根本の働きを宰どり、また豊雲野神は、体系に属し、緯に天地の修理固成に当り、気候、風土等の如何に応じて、異別的特色を発揮せしむる根本の働きを宰どり給う。
現在起りつつある「二度目の世の立替立直」とても、この二神の根元の働きの連続である。
また、動力を大戸地、静力を大戸辺、 解力を宇比地根、凝 力を須比地根、引力を生杭、弛力を角杭、 合力を面足、分力を憧根、 即ち宇宙間に起る八大力は、以上の八大神の分担に係るものである。
「幽の幽」は神界の奥の奥に位し、天地万有発生の基礎を分担する根本の活動所で、「顕の顕」(現界)に活動する人間からは、容易に窺知(-的が)することが出来ない。しかしその原質は、敢て人間と違ったところはないが、清濁、大小の差が大変違う。
「古事記』に所謂「独神成座而、隠身也とある通り、聖眼これを視ること能わず、賢口これを語るを能わずの境涯である。不生不滅、不増不滅、至大無外、至小無内の極徳を発揮されている。これを探れば弥々深く、これを望めば弥々深く、その威力は常に不可抗の天理天則と成り、宇宙万有の上に圧して来る。「時節」「天運循環」などという事柄も、「幽の幽」の経論に属する事柄で、それが一大祖神·天之御中主神により統一されるから、一糸乱れることが無い。
天道は、是非を超越した絶対の大権威がある。宇宙の存在する限り曲げることが出来ない。国常立 尊、豊雲野 尊の「二度目の大立替、大立直」も同じ天道の発現で、宇宙内経綸の道程において、是非通過せねばならい大関門である。
