聲字實相義の第7公開単位「第七章 十界の言語と真言・妄語――分岐は音質ではなく実義」を空海著作原典・現代語訳・TENMON解読に分けて読むページです。
1. 中立的な定義
聲字實相義の第7公開単位「第七章 十界の言語と真言・妄語――分岐は音質ではなく実義」を空海著作原典・現代語訳・TENMON解読に分けて読むページです。
2. 書誌・著者・底本・対象範囲
T77 No.2429, p.401c02–p.404b10/対象:T77 No.2429, p.401c02–p.404b10
3. 原典
次十界具言語者。謂十界者。一一切佛界。二一切菩薩界。三一切縁覺界。四一切聲聞界。五一切天界。六一切人界。七一切阿修羅界。八一切傍生界。九一切餓鬼界。十一切捺落迦界。自外種種界等攝天鬼及傍生趣中盡。華嚴及金剛頂理趣釋經有十界文。此十界所有言語皆由聲起。聲有長短高下音韻屈曲。此名文。文由名字。名字待文。故諸訓釋者云文即字者。蓋取其不離相待耳。此則内聲文字也。此文字且有十別。上文十界差別是。
此十種文字眞妄云何。若約竪淺深釋則九界妄也。佛界文字眞實。故經云眞語者・實語者・如語者・不誑語者・不異語者。此五種言梵云曼荼羅。此一言中具五種差別故。龍樹名祕密語。此祕密語則名眞言也。譯者取五中一種翻耳。此眞言詮何物。能呼諸法實相不謬不妄。故名眞言。其眞言云何呼諸法名。雖云眞言無量差別。極彼根源不出大日尊海印三昧王眞言。彼眞言王云何。金剛頂及大日經所説字輪字母等是也。彼字母者。梵書阿字等乃至呵字等是。此阿字等則法身如來一一名字密號也。乃至天龍鬼等亦具此名。名之根本法身爲根源。從彼流出稍轉爲世流布言而已。若知實義則名眞言。不知根源名妄語。妄語則長夜受苦。眞言則拔苦與樂。譬如藥毒迷悟損益不同
問曰。龍猛所説五種言説ト今所説二種言説。如何相攝答。相夢妄無始者屬妄攝。如義則屬眞實攝。
4. 検索用正規化本文
原典表記を検索可能な文字列として保持する。意味を変える自動置換は行わない。
5. 訓読・語法・異体字
異体字・旧字体・歴史的仮名遣いを原典欄に保存し、校異が未確定の箇所は断定しない。
6. 現代語訳
十界とは仏・菩薩・縁覚・声聞・天・人・阿修羅・畜生・餓鬼・地獄である。そのほかの世界も天・鬼・畜生の領域に収められる。十界の言語はすべて声から起こる。声には長短・高低・音韻・屈曲があり、これを文という。文は名と字により、名と字も文を待って現れる。文と字は離れず、互いを待って成立する。縦に浅深を立てれば、九界の文字は妄、仏界の文字は真実である。経の真語・実語・如語・不誑語・不異語を挙げ、本文はこれら五種の言を梵語では曼荼羅というと述べ、一語に五差別を具える秘密語を真言とする。訳者は五種のうち一種を取って真言と訳した、と空海は説明する。真言は諸法の実相を誤りなく呼び表す。無量の真言の根源は大日尊の海印三昧王真言であり、『金剛頂経』『大日経』の字輪・字母、阿字から呵字までが法身如来の一つ一つの名・密号である。名は法身を根源とし、そこから流出して世間の言語となる。実義を知れば真言、根源を知らなければ妄語である。妄語は苦を長引かせ、真言は苦を抜き楽を与える。龍猛の五種言説では、相・夢・妄・無始の四つを妄、如義を真実に収める。
漢文語法・空海教学
「文由名字。名字待文」は一方向の因果ではなく相待関係である。音型・名・文脈が互いに支え合う。
「若知實義則名眞言。不知根源名妄語」は本書の判定軸である。同じ音列でも、実義と根源を知るかで働きが分かれる。
「此五種言梵云曼荼羅」は本文の秘密釈として訳し、一般梵語辞書上の単純同義と断定しない。
サンスクリット照明
真言:mantra。語源分解だけで意味を尽くさず、仏の語密、字母、実義、修法の全体で読む。
曼荼羅:maṇḍala。本文の五種語との結合は空海の秘密釈であり、通常の辞書的語義と区別する。
字母:akṣara/varṇa の体系。世間言語が法身の名から流出するという教学命題を、比較言語学上の系統樹に置き換えない。
7. 文献・教学上の文脈
空海著作の作品内構造と密教教学上の文脈を優先し、後代注釈やTENMON比較を空海本人の文へ混入させません。
8. TENMON言灵構造解読
ナは火水・和・流・正中・凝・鳴・三世・納である。名が根源から流出し、世界の差異を凝らせ、時を越えて保持するという本文と構造的に一致する。
真言/妄語の違いは、清音なら真、濁音なら妄という単純分類ではない。清濁の方向、前後関係、話者の中心、対象との一致を失うと濁り、根源と実義へ戻れば澄む。
言灵法則を固定辞書として使えば妄語化する。本文・文脈・躰・用・正中を保って音の働きを読むとき、言灵解読は真言へ近づく。
9. 比較研究
言灵秘書・古事記・カタカムナとの照合はTENMON比較研究であり、空海がそれらを直接解読したという歴史主張ではありません。
10. 未確定事項・反証・HOLD
未検証の悉曇字形・サンスクリット語形・歴史的直接継承を断定しません。
11. 証拠・確度
空海著作原典=A0、天聞作成の訳・整理=A1、TENMON構造解読=E5、比較仮説=E6。
12. 出典・巻・頁・行
T77 No.2429, p.401c02–p.404b10