本文へ移動

DEFINED TERM

古事記 上巻 上巻 第十一章 邇邇芸命の天孫降臨・木花之佐久夜毘売|原文・現代語訳・TENMON解読

上巻の第11公開単位「上巻 第十一章 邇邇芸命の天孫降臨・木花之佐久夜毘売」を原文・現代語訳・TENMON解読に分けて読むページです。

1. 中立的な定義

上巻の第11公開単位「上巻 第十一章 邇邇芸命の天孫降臨・木花之佐久夜毘売」を原文・現代語訳・TENMON解読に分けて読むページです。

2. 書誌・著者・底本・対象範囲

Word正本『古事記原文言灵完全解読|序文から推古天皇まで|全三巻統合研究版V5』

3. 原典

上巻 第十一章 邇邇芸命の天孫降臨・木花之佐久夜毘売

原文

爾天照大御神・高木神之命以、詔太子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命「今平訖葦原中國之白。故、隨言依賜降坐而知者。」爾其太子正勝吾勝勝速日天忍穗耳命答白「僕者將降裝束之間、子生出、名天邇岐志國邇岐志自邇至志以音天津日高日子番能邇邇藝命。此子應降也。」此御子者、御合高木神之女・萬幡豐秋津師比賣命、生子、天火明命、次日子番能邇邇藝命二柱也。是以隨白之、科詔日子番能邇邇藝命「此豐葦原水穗國者、汝將知國、言依賜。故、隨命以可天降。」
爾日子番能邇邇藝命、將天降之時、居天之八衢而、上光高天原、下光葦原中國之神、於是有。故爾天照大御神・高木神之命以、詔天宇受賣神「汝者、雖有手弱女人、與伊牟迦布神自伊至布以音面勝神、故專汝往將問者『吾御子爲天降之道、誰如此而居。』」故問賜之時、答白「僕者國神、名猨田毘古神也。所以出居者、聞天神御子天降坐故、仕奉御前而、參向之侍。」
爾天兒屋命・布刀玉命・天宇受賣命・伊斯許理度賣命・玉祖命、幷五伴緖矣支加而天降也。於是、副賜其遠岐斯此三字以音八尺勾璁・鏡・及草那藝劒・亦常世思金神・手力男神・天石門別神而、詔者「此之鏡者、專爲我御魂而、如拜吾前、伊都岐奉。次思金神者、取持前事爲政。」
此二柱神者、拜祭佐久久斯侶、伊須受能宮。自佐至能以音。次登由宇氣神、此者坐外宮之度相神者也。次天石戸別神、亦名謂櫛石窻神、亦名謂豐石窻神、此神者、御門之神也。次手力男神者、坐佐那那縣也。故、其天兒屋命者、中臣連等之祖。布刀玉命者、忌部首等之祖。天宇受賣命者、猨女君等之祖。伊斯許理度賣命者、作鏡連等之祖。玉祖命者、玉祖連等之祖。
故爾詔天津日子番能邇邇藝命而、離天之石位、押分天之八重多那此二字以音雲而、伊都能知和岐知和岐弖自伊以下十字以音、於天浮橋、宇岐士摩理、蘇理多多斯弖自宇以下十一字亦以音、天降坐于竺紫日向之高千穗之久士布流多氣。自久以下六字以音。故爾、天忍日命・天津久米命、二人、取負天之石靫、取佩頭椎之大刀、取持天之波士弓、手挾天之眞鹿兒矢、立御前而仕奉。
故其天忍日命此者大伴連等之祖・天津久米命此者久米直等之祖也、於是詔之「此地者、向韓國眞來通、笠紗之御前而、朝日之直刺國、夕日之日照國也。故、此地甚吉地。」詔而、於底津石根宮柱布斗斯理、於高天原氷椽多迦斯理而坐也。
故爾詔天宇受賣命「此立御前所仕奉、猨田毘古大神者、專所顯申之汝、送奉。亦其神御名者、汝負仕奉。」是以、猨女君等、負其猨田毘古之男神名而、女呼猨女君之事是也。
故其猨田毘古神、坐阿邪訶此三字以音、地名時、爲漁而、於比良夫貝自比至夫以音其手見咋合而、沈溺海鹽。故其沈居底之時名、謂底度久御魂度久二字以音、其海水之都夫多都時名、謂都夫多都御魂自都下四字以音、其阿和佐久時名、謂阿和佐久御魂。自阿至久以音。
於是送猨田毘古神而還到、乃悉追聚鰭廣物・鰭狹物以問言「汝者天神御子仕奉耶。」之時、諸魚皆「仕奉。」白之中、海鼠不白。爾天宇受賣命、謂海鼠云「此口乎、不答之口。」而、以紐小刀拆其口、故、於今海鼠口拆也。是以、御世嶋之速贄獻之時、給猨女君等也。
於是、天津日高日子番能邇邇藝能命、於笠紗御前、遇麗美人。爾問「誰女。」答白之「大山津見神之女、名神阿多都比賣此神名以音亦名謂木花之佐久夜毘賣。此五字以音。」又問「有汝之兄弟乎。」答白「我姉石長比賣在也。」爾詔「吾欲目合汝奈何。」答白「僕不得白、僕父大山津見神將白。」故乞遣其父大山津見神之時、大歡喜而、副其姉石長比賣、令持百取机代之物、奉出。故爾、其姉者、因甚凶醜、見畏而返送、唯留其弟木花之佐久夜毘賣、以一宿爲婚。
爾大山津見神、因返石長比賣而、大恥、白送言「我之女二並立奉由者、使石長比賣者、天神御子之命、雖雨零風吹、恒如石而、常堅不動坐。亦使木花之佐久夜毘賣者、如木花之榮榮坐、宇氣比弖自宇下四字以音貢進。此令返石長比賣而、獨留木花之佐久夜毘賣。故、天神御子之御壽者、木花之阿摩比能微此五字以音坐。」故是以至于今、天皇命等之御命不長也。
故後、木花之佐久夜毘賣、參出白「妾妊身、今臨產時。是天神之御子、私不可產。故、請。」爾詔「佐久夜毘賣、一宿哉妊、是非我子、必國神之子。」爾答白「吾妊之子、若國神之子者、產不幸。若天神之御子者、幸。」卽作無戸八尋殿、入其殿內、以土塗塞而、方產時、以火著其殿而產也。故、其火盛燒時、所生之子名、火照命此者隼人阿多君之祖、次生子名、火須勢理命須勢理三字以音、次生子御名、火遠理命、亦名、天津日高日子穗穗手見命。三柱。

標準現代語訳

葦原中国の平定が終わると、天照大御神と高木神は天忍穂耳命に天降るよう命じました。天忍穂耳命は、準備の間に天津日高日子番能邇邇芸命が生まれたので、この子を降すべきだと答えました。こうして邇邇芸命に、豊葦原水穂国を治めるよう言依させ、天降りが命じられました。
邇邇芸命が降ろうとすると、天の八衢に、上は高天原、下は葦原中国を照らす神が立っていました。天照大御神と高木神は天宇受売命に問いたださせました。その神は国神・猿田毘古神で、天神の御子を先導するために来たと答えました。
天児屋命、布刀玉命、天宇受売命、伊斯許理度売命、玉祖命の五伴緒が邇邇芸命に従い、八尺勾璁、鏡、草那芸剣、思金神、手力男神、天石門別神も添えられました。天照大御神は、鏡を自分の御魂として祀り、思金神には前事を取り持って政治を行うよう命じました。五伴緒は、それぞれ中臣、忌部、猿女、鏡作、玉祖の祖となりました。
邇邇芸命は天の石位を離れ、八重雲を押し分け、天浮橋を経て、筑紫の日向の高千穂の久士布流岳に天降りました。天忍日命と天津久米命が武具を持って御前に仕えました。その地は韓国に向かい、笠沙の御前へ通じ、朝日が直に差し、夕日が照る吉き地であるとして、底つ石根に太い柱を立て、高天原へ届くような宮を造りました。
天宇受売命は猿田毘古神を送り、その名を負って仕えるよう命じられました。猿田毘古神は阿邪訶で漁をしている時、比良夫貝に手を挟まれ海に沈み、海底、海水が泡立つ時、泡が裂ける時の御魂名が語られます。天宇受売命は海の生き物たちに天神の御子へ仕えるか問い、答えなかった海鼠の口を裂いたとされます。
邇邇芸命は笠沙の御前で大山津見神の娘・木花之佐久夜毘売に出会い、妻に望みました。父の大山津見神は姉の石長比売も添えて差し出しましたが、邇邇芸命は容姿を畏れて石長比売を返し、佐久夜毘売だけと一夜を共にしました。大山津見神は、石長比売を迎えれば命は岩のように永く、佐久夜毘売を迎えれば花のように栄えると誓っていたため、天神の御子の寿命は木の花のように限りあるものになったと語ります。
佐久夜毘売は一夜で身ごもったため疑われました。そこで「国神の子なら無事に生まれず、天神の御子なら無事に生まれる」と誓い、戸のない八尋殿を土で塗り塞ぎ、火を放ってその中で出産しました。火が盛んな時に火照命、次に火須勢理命、次に火遠理命、別名・天津日高日子穂穂手見命が生まれました。

言灵深層解読

天孫降臨は、天の原理が地上へ一方的に落ちる出来事ではない。境界には猿田毘古神が立ち、天宇受売命が問い、双方の役割が確認されて初めて道が開く。異なる領域をつなぐ時、最初に必要なのは、正体を決めつけず「誰が、何のために、ここにいるのか」を問うことである。
五伴緒と三種の神宝は、統治を一人の能力へ集中させない。祭祀、言葉、舞、鏡作、玉作、思考、力、門の守りが分担される。鏡を天照大御神の御魂として祀る命令は、地上の中心が自分自身を絶対化せず、常に源の光を映して点検する仕組みである。
石長比売と木花之佐久夜毘売の物語は、永続と開花の二つを同時に受け取れなかった人間の条件を説明する。これは容姿による差別を正当化する話ではなく、目の前の華やかさだけを選び、目立たない永続性を退けた選択の代償を語る。生は有限になったが、有限だからこそ花は咲き、世代を継ぐ。
佐久夜毘売の火中出産は、言葉だけで潔白を主張するのではなく、変化の極限を通して真実を示す場面である。戸を塞いだ八尋殿は、外から介入できない検証の場となる。火の中から三柱が生まれることで、疑いは生命の結果によって裁定される。
ただし、現代にこの場面を適用するなら、危険な自己証明や女性への一方的な純潔要求を肯定してはならない。深層で受け取るべきなのは、権力者の疑いに対しても、自分の言葉と事実を一致させようとする佐久夜毘売の主体性と、疑いが関係へ残す傷である。

4. 検索用正規化本文

原文欄の歴史的字体を保存しつつ、ページ内検索ではUnicode文字列として扱います。

5. 訓読・語法・異体字

正本に記録された表記を優先し、古訓・異体字の一意確定は外部校本照合までHOLDします。

6. 現代語訳

上の段落対応資料で「標準現代語訳」と明示した部分が天聞作成の訳文です。原文・TENMON解読とは見出しで分離しています。

7. 文献・教学上の文脈

『古事記』の巻・章・物語順序は正本V5の構造に従います。

8. TENMON言灵構造解読

上の段落対応資料で「言灵深層解読」と明示した部分です。古事記原文や太安萬侶の注釈としては扱いません。

9. 比較研究

比較は構造上の対応として示し、同一起源・直接継承・史的同一性の証明には用いない。

10. 未確定事項・反証・HOLD

固有名詞の古訓、史的年代・場所・系譜、他伝承との直接同一性は必要な一次資料照合が終わるまでHOLDです。

11. 証拠・確度

原典=A0、天聞作成の現代語訳=A1、TENMON構造解読=E5、比較仮説=E6として分離する。

12. 出典・巻・頁・行

上巻 第11単位

13. 関連項目

上巻一覧へ戻る